☆新型コロナを意識した診療体制について☆
新型コロナが各地で散発的に日々報告され、みな戦々恐々としていることと思います。自然経過、重症例の経過については報告が上がってきています。ただ検査体制はごく限られており、どれだけ広まっているか、は推測の域を出ません。現状がどの程度、今後どのように推移していくかは相手がウイルスだけに全く分かりませんが、一定の意識を持って対処していかなければなりません。
当院は診療所であり、出来る感染対策も限られます。最悪の状況を意識しての診療は不可能であり、最悪の状況を意識すれば『診療しない』ことが正しい選択となります。それでは本来必要な医療(赤ちゃんの予防接種など)を提供することができないことはお分かりのことと思います。
クルーズ船のYoutube報告ではありませんが、今その場所でできるモアベターを模索する、ことしかできません。現状も日々刻々と変化させる必要もあると思います。
現状としての当院の現状把握、態勢について提示致します。
1.
現状考察
A.
ウイルスの重症度
現時点では普通のかぜとして考えられるほど甘くはない。軽症例が8割ではあると思いますが、酸素投与例、重症例(人工呼吸など)、死亡例もある(この日本でです)ため危険であることは間違いない。
B.
ウイルスの広まり
全国各地で報告されているので広まっていることは間違いない。検査体制も1日多くて数千程度、軽症例が8割なので潜在的な数は推測の域をでないが、船全体がレッドゾーンと言われるクルーズ船で2月20日の報告でPCRの陽性率は3011検査中621が陽性だったこと、そして疑似症サーベイランス(重症の疑い患者)のデータ(2月20日、693検査中69が陽性)、電車通勤がほとんどのはずの首都圏、大阪圏で爆発的に増えていないことを考えると、対策を講じている市中では現在は少ないと考える。インフルエンザの流行初期程度(定点1程度)をイメージします。
静岡県は2月23日時点で報告がゼロであることを考えると、島田市は流行前のインフルエンザをイメージする状況と考えます。(つまり、ゼロではないがほとんどいない)
C.
ウイルスの広まり方
船全体がレッドゾーンと言われるクルーズ船でのPCRの陽性率2割を考えると、かなりの対策を講じればインフルエンザ程度、ともいえます。逆に言えば普通の対策ですとそれ以上(基本再生産数はインフルの2倍程度と推測されている)です。ここが『不要の外出をしない』意味になります。ただ、どこまで続けることができるか、という状況です。
感染経路は飛沫、接触感染が中心と思われます。マスクでの咳エチケットは重要であり、手洗い、消毒、換気が重要であることは間違いありません。
D.
症状について
当初はのどが痛い、鼻水、下痢はほとんどないと言われていましたが、のどが痛いことは時々見られるようです。鼻水、下痢はそれより少ないですがゼロではありません。ですので初期は普通のかぜ、でしかなく、区別、注意のしようがありません。
E.
重症例の予知
報告例を見ますと経過はやはり別図のような感じです(下記の下の右の図)。
http://mansai-ken.com/saisinnryuukou.html
かぜ症状がなおらずに1週間程度で悪化するようです。ただ、かぜ症状としても熱が高い(39℃前後)、血液検査の炎症が高い、呼吸が苦しい感じがある(せきよりこっち)などがみられます。ですので大人ですと徐々に高熱になる方が要注意です。結局、普通のかぜと一緒で予知はできません。
F.
こどもでは?
感染自体が少ないとの報告があります。10歳未満は死亡率ゼロです。
http://mansai-ken.com/020217CCDC.html
北海道で小学生、埼玉でこどもが感染していますのであるとは思いますが、感覚的には(あくまでも主観です)マイコプラズマ程度です。(流行はするがインフルエンザほど発症数が多くない)
2.
上記を踏まえての診療体制
模索していくしかありません。重要なことは、
ア.重症例はしっかりとした診断まで意識する(病院に行ってもらう)
イ.ある程度のリスク管理、感染対策はする
ウ.日常的に必要な医療を提供する
になります。
インフルエンザ流行期をイメージしています。インフルエンザは大人→小中学生→幼児→乳児、と広まっていきます。大人→幼児、乳児は家族感染の時にありえます。これを踏まえて、
◎小学生の発熱、せきは窓を開けた隔離部屋対応する
とします。
前述通り大人が先です。ご両親の管理も必要です。特に感染患者のいない時間帯(健診、予防接種)が大事です。
◎大人で微熱、せき等が4日以上続く(厚労省の基準)、呼吸が苦しい方は隔離対応する。
◎予防接種に連れてくる方は健康な方に限る。(体調が悪い方が連れてきた場合は状況判断します)
大人の自己管理も必要です。
◎大人はかぜ症状がある場合はなるべく自宅で休み、すぐには医療機関を受診しない。症状が4日以上続く場合は受診を考慮する。
厚労省の基準ができて内科診療所や病院には負荷がかかっているようです。診療所に行っても、
検査できない
特別な治療薬もない
状態です。島田にはまだ新型コロナ患者さんはほとんどいない、と考えています。普通のかぜが圧倒的に多い状態です。
咳エチケットは重要です。飛沫、鼻水等の管理も大事です。これを踏まえて、
◎マスクを必ずしてきてください。(乳児で難しいケースは仕方ありません)
◎咳、鼻水がイス、床等についたらティッシュ等でふき取ってください。
今の所は島田では乳幼児には発生はないと考えています。今後のために意識、練習していく必要があります。
消毒用アルコールは重要ですが、当院には院内管理する程度しかなく、待合等に置くことができません。必要な場合はご自身で準備戴くか、手洗いをお願いします。
診療所にいつ患者さんが発生するかわかりません。今の所は発生はないと考えていますし、2週間程度は大丈夫と思っています(甘い?)。ただ、感染リスクの高い場所であることは間違いありませんし、いつ従業員が感染するか分かりません(検査ができないのでどうすることもできません)。
◎受診は最低限にする
当院HP下の方の病気の経過スライド
http://mansai-ken.com/byoukinokeika.html
が少し参考になるとは思います。診断のための1回受診で終了できることが理想です。
まとめますと、
◎小学生の発熱、せきは窓を開けた隔離部屋対応する
◎大人で微熱、せき等が4日以上続く(厚労省の基準)、呼吸が苦しい方は隔離部屋対応する。
◎予防接種に連れてくる方は健康な方に限る。(体調が悪い方が連れてきた場合は状況判断します)
◎大人はかぜ症状がある場合はなるべく自宅で休み、すぐには医療機関を受診しない。症状が4日以上続く場合は受診を考慮する。
◎マスクを必ずしてきてください。(乳児で難しいケースは仕方ありません)
◎咳、鼻水がイス、床等についたらティッシュ等でふき取ってください。
◎受診は最低限にする。
出来ることは限られています。出来ることの中でのベストを目指しましょう。
皆様のご協力が必要です。みなでのりきりましょう。
(R2/2/24)