☆ 迅速検体検査等の自粛について ☆

こどもの感染症は、発熱、せき、鼻水が中心の症状であることは周知の事実と思います。そこに今回経過や重症度の分からない新型コロナ(COVID-19)が広まりつつあります。

現段階では発熱(37.5℃以上)、せきが4日以上続き肺炎が確認されたケースについては保健所に問い合わせた上、新型コロナウイルスPCRをするかどうか決定しています。検体検査を行う場合はN95マスク、ゴーグル、全身ガウン、手袋をした上行い、その後徹底した消毒管理が必要となっています。当院を含めた開業医で行うことは院内感染リスク等を考慮すれば難しいと考えています。

新型コロナウイルスPCR検査を保険適用にする方向で動いているようですが、検査可能な場所は入院患者は肺炎の入院患者のいる施設、外来患者は帰国者・接触者外来を設置している医療機関に限られる方向のようです。一般開業医ではありません。開業医で新型コロナ感染を疑う→帰国者・接触者外来のある病院に紹介となりそうです。ですので新型コロナに感染しているかどうかは一般開業医では検査できませんし、帰国者・接触者外来に行っても医師が必要と判断しなければできません(軽いかぜ症状で心配だから検査、はおそらくできないでしょう)。

 

 さて、今後新型コロナウイルスが徐々に広まってくる可能性が高いとして、新型コロナであっても軽いかぜ症状の方も多いはずです。インフルエンザや溶連菌、アデノウイルス、RSウイルス、マイコプラズマなどももちろんかぜ症状です。例えば園でインフルエンザが流行しているから検査してきて、となって検査したところインフルエンザではなく、実は新型コロナ、も十分あります。この場合、知らずにウイルスをまき散らしていることになります。感染リスクは検査検体を取る時が最高に高まります。ですので現在新型コロナ疑いの検査は完全防備、普通の診療は普通のマスク、手洗いになっています。

 すべての検査に完全防備で行えばよい、可能性もあります。ですが医療資材(N95マスク等)は少なく、その後の環境消毒に必要な労力、時間等を考慮すると現実的には開業医では難しいです。

 

 一般的な迅速検体検査についてですが、当院ではインフルエンザと溶連菌、マイコプラズマの一部に関しては行っております。それ以外は治療的意味合いが不要なこと、臨床診断がだいたい可能であることから行っておりません。

 溶連菌に関しましては臨床診断が可能です。抗生物質内服の必要性があるため確定の意味で迅速検査を行っています。しかし、実際上は省略することは可能と考えています。

 マイコプラズマも経過で判断できる場合が多いです。抗生物質を内服するかどうかを考慮するために検査していますが、迅速検査省略可能と考えます。

 インフルエンザに関しましては迅速検査しないと分からないケースもあります。しかし流行状況、全身状態、診察所見を合わせれば7〜8割は検査前の予想(陽性かどうか)が当たります。検査キットの陽性率も8割程度ですので臨床診断のみとしてもよいと思います。インフルエンザの基本は自宅で休むこと、それを考えれば流行期に高熱→1週間学校、園を休むでもよいかもしれません。今はインフルエンザ流行期はほぼ終了している、こともあります。つまり、投薬の有無を決める意味以外では、省略することは可能です。

 

 以上を考慮して今後しばらくは以下の方針と致します。

 

◎各種迅速検体検査は基本的に行わない。

(血液、尿、レントゲン検査は行います)

 

迅速検査を行わずとも、臨床診断でお話できることは多いと思います。

 

 同様の理由で医療者感染リスクの高い

鼻吸引をするしない

も医師の判断とします。赤ちゃんの鼻吸いは状況判断でできることが多いとは思いますが、園児の発熱者の鼻吸いは行わない可能性が高いと思います。

 

 何卒宜しくお願い致します。

 

R2/3/1 ケン☆こどもクリニック 院長

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