☆ ギフテッドの件 ☆

近年世界的にも知られつつあるギフテッド。いわゆる『天才』と言われる部類の人のことです。今回これに関して個人的な見解を出してみたいと思います。あくまでも個人的な見解であり、エビデンスなど毛頭ありませんので読み物として受け取って頂くようお願い致します。内容に関するクレーム等があればこの記事は取り下げます。

 

〇ギフテッドの定義に関して

『同世代の子どもと比較して先天的に高い知識、理解力、倫理観を持ち、突出した才能を持っている子どものこと。』とされています。

個人的に高い知識は、知りたいものに関して、理解力も、興味あることに関して、という注釈をつけたいです。倫理観を持っていることには賛同でき、生まれながらにして人間や世界という生物、科学の原理を知っているかのような印象があります。社会の原理は生物原理に反することもありますので、うまく適応できないこともあります。

 

私の感覚でのギフテッド定義は、

『特定の分野(学問、芸術、運動、特殊能力など)における、学習により到達可能な能力値が異常に高く、またその獲得スピードも早いひと。多方面の分野にわたるかどうかは本人の嗜好による。』

分野が多方面にわたる場合はその分野に相互乗り入れできるためより複雑な思考、世界を形成することができます。学問的な事項に興味が傾くため社会的感覚の成熟は求めないことが多く、周囲よりも幼く、落ち着きがないように見えます。本来的にいつもにこにこしていて、常に目線は現在でなく未来を見ています。外から見ていると何を考えているか分からないように見えますが、周囲の社会に不適応である訳ではなく、周囲の状況はきちんと理解しています。

 

 

〇高機能自閉症(発達障害)、注意欠陥多動障害との違い

 発達障害、ADHDとギフテッドは似ているところが多いです。ですのでギフテッドが知られていない場合、発達障害、と診断されるケースも多いと思います。そこで違いを考えてみました。

 発達障害もギフテッドも個性ですから実は違いを出す必要はないかもしれませんが、あえて出すと、

・発達障害は表情や動作がデジタル的なことが多いが、ギフテッドはアナログ的に滑らかなで豊かなことが多い。

・発達障害は、想像力が低いため不慮の要素に弱い。ギフテッドは、想像力が異常に高く不慮の要素には強い。

・発達障害は、相手の考えが分かりづらいが、ギフテッドは、相手の考えが色々想像できてしまう。

・発達障害は、つい周囲と乖離した自己流になってしまうが、ギフテッドは、周囲がなるほどど驚くような自己流を見せる。

・発達障害は、ひとつの分野に傑出することはあるが、ギフテッドは総合的な分野に傑出し、大きな世界観を作ることができる。

・発達障害は、組織の中に適応しづらいが、ギフテッドは自分が納得した組織ではトップから新人までどの位置でも一流になることができる。

 

 

〇ギフテッドに見られる特徴(大人も含めて)

 いつもにこにこしていて楽しそうである。常に何かを探している。

 こどもの時期に周囲よりこどもっぽいと思う反面、驚くような大人の感覚を普通に持つ。逆に大人になってもこどもっぽさが強く残る。

 会話中の動作が個性的である。自分を楽しんでいるようなしぐさをする。

 発想力が多彩。

 物事に『美しさ』を求める。

 自己顕示欲はなく、他人に嫉妬することはあまりない(他人と自分をあまり比較しない)。

 

 

〇ギフテッドの問題点

 能力が高すぎて学校などの社会適応ができない。(学校に問題がある)

 能力が高すぎて周囲と合わなかったり、落ち着きがなかったりすることが注目さて、特別支援に回されてしまう。(システムに問題がある)

 能力が高く何でもすぐできてしまうので、意識が低い場合は時間を持て余すのみで生産的な活動につながらない。

 社会的感覚に乏しい場合は、楽しいこと、楽なことに行ってしまう。

 自分の能力を最大限発揮することを望まないタイプの場合、自分の得意分野で生きていかないため普通以下のひとになってしまう。

 

 

 色々考察してみましたが箇条書きにしかなりませんでした。言えることは、

『こどものうちにギフテッドと判断し、周囲が本人の能力を伸ばせるように支援する。』

事だと思います。過度の期待をすることは本人の負担になります。周囲に対する感覚は人一倍鋭いので、一般常識は自然に身につきます。あせらず、楽しく、一緒に学びながら得意分野に目覚めるよう、本人の未来を開いてあげましょう。

 そのために必要なことは、

・学校がギフテッドを容認する(個別の学習を許可するなど)

・社会がギフテッドを容認する(飛び級や大人の分野に入ることを許可すること)

・周囲のなかまが容認する(皆が皆のことを相互に応援する)

・マイペースを支持する(本人にとって伸びる分野はどんどん大学レベルまで学習し、逆に不要な分野は黙認する)

・楽しんで学べるよう支持する

などです。

 

 

〇ギフテッドと判断するのは?

 上記のような特徴を踏まえて判断しています。WISCなどの知能検査を併用するとさらに的確な判断につながるかもしれませんが、逆にIQが高いからギフテッドだと判断したい、ことも多そうです。IQが高い人は一定の割合でいますのでIQが高いことイコールギフテッドではありません。私が重視するのは、

こどもの場合、

 いつもにこにこしていて楽しそうである。常に何かを探している。

 発想力が多彩。

 こどもっぽいと思う反面、驚くような大人の感覚を普通に持つ。

おとなの場合、

 いつもにこにこしていて楽しそうである。常に何かを探している。

大人になってもこどもっぽさが強い。

 発想力が多彩。

 物事に『美しさ』を求める。

 自己顕示欲はなく、他人に嫉妬することはあまりない(他人と自分をあまり比較しない)。

です。

 ギフテッドの頻度は感覚的に、1000人に1人程度です。ギフテッドの中でもその能力を発揮できるのは感覚的にその10分の1程度でしょうか。私が今まで出会ったギフテッド(私の個人的判断です)は20名程度です。診療中にそう思った親子さんには伝える場合もあります。ただし私の感覚的なものであり、知能検査などの根拠はありません。

 

 ギフテッド含め誰もがしあわせになれるよう、支援していきたいと思っております。

 

2023/6/29 記載

前に戻る